新式の土物マグカップは爪木（つまぎ）マグと名付けました。
赤土の中に含まれている鉄成分が白い粉引きに
星座のごとく瞬いております。

内底には御本（ごほん）が
オレンジに浮かび上がっています。
とても軽いです。

陶器は表面を刃物で薄く削いだものが
表情が豊かになるので好ましいです。
方法によって、削ぎ（ソギ）とか削り（けずり）とか
面取りとかいうのですが
このマグは表を薄く一枚めくったので
総削りとでも呼ぶべき状態です。

口元に少し皮を残したところが
まるで毛刈りを終えた羊のようです。
写真には右下のところに
掴み跡も見受けられます。

削られた面には、
小石がコテに引き摺られて出来る
「石走り」も出現するのですが、
これらはみな、わざわざのことです。

西洋の器には無い発想です。
そういう独自の感覚で
オランダあたりから渡来した珈琲を
今日もおいしく飲んでいる
変な私たちです。